2019 年 44 巻 2 号 p. 280-285
症例は72歳,女性.検診で便潜血陽性を指摘され,精査で行った大腸内視鏡で下部直腸に25mm大の0-Ⅱa+Ⅱc型腫瘍を認めた.Pit patternはVN型でnon-lifting sign陽性であり,粘膜下層深部への浸潤癌と診断し,外科的切除の方針となった.また以前に右胸心を指摘されており,術前のCTで完全内臓逆位症と診断した.腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術,D2郭清,一時的横行結腸人工肛門造設術を行った.解剖が左右鏡面像になるため,術前にCT colonographyで大腸の走行と腫瘍の位置を確認し,CT angiographyで血管走行を確認し,術前に十分にシミュレーションを行うことで安全に手術を行うことができた.完全内臓逆位症に対する腹腔鏡手術は稀であり,文献的考察を加え報告する.