2019 年 44 巻 2 号 p. 306-311
症例は72歳女性.8年前に食道癌で食道亜全摘,胃管再建術を施行.以前より膵頸部に分枝型IPMNを認めていたが,CA19-9値の漸増とMRCPで膵頭部主膵管の途絶を認め,EUSでは狭窄部に8mm大の腫瘤性病変を認めた.手術の方針となり術前に3D-CT血管再構築にて膵頭部,胃管周囲血管の走行を確認した.手術は胃管血流保持のために胃十二指腸動脈,右胃大網動静脈および右胃動静脈を温存した,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理診断は膵頭部ほぼ全域にわたってIPMAと考えられる乳頭状および管状増殖を認め,一部に異型腺管の浸潤性増殖ありIPMC,invasiveの診断であった.食道癌術後の膵頭部IPMCに対し,胃管温存頭十二指腸切除術を安全に施行しえた1例を経験したので報告する.