2019 年 44 巻 2 号 p. 312-318
インスリノーマには局在診断が困難な症例があり,多発病変も少なくない.局在診断に難渋した膵インスリノーマの1切除例を経験したので報告する.患者は37歳女性.発汗過多および意識障害を契機にインスリノーマと診断されたが,画像検査では病変を指摘できなかった.選択的動脈カルシウム負荷試験を行ったところ,脾動脈流域および胃十二指腸動脈から分岐する横行膵動脈流域でインスリン値の上昇が見られ,病変は背側膵領域に存在すると考えられた.手術は膵体尾部切除術を行った.標本の摘出と同時に血中インスリン値の低下および血糖値の上昇を認め,病変が切除できたことを確認しえた.病理所見から,機能性膵内分泌腫瘍(G1,insulinoma)と診断した.本症例では,選択的動脈カルシウム負荷試験により病変が背側膵領域に存在することが推定できた.また病変切除の指標として,術中インスリンモニタリングが有用であった.