2021 年 46 巻 2 号 p. 177-182
症例は52歳の男性で,臍部からの出血や排膿を認め,精査目的に当院を受診した.上行結腸癌,多発リンパ節転移,多発肝転移,腹膜播種,臍転移と診断し化学療法を開始した.徐々に臍転移は増大し,化学療法開始後19カ月頃から臍周囲の皮膚障害が出現した.臍周囲の皮膚障害は疼痛を伴い,オピオイド徐放性製剤を開始した.また,浸出液が増量し悪臭を認めたため,メトロニダゾール軟膏を塗布したところ悪臭は改善したが,浸出液は減少しなかった.皮膚障害は改善することなく死亡直前には臍中心に腹部前面を広範囲に覆うまでに伸展した.
大腸癌化学療法により生存期間の延長が期待される一方で,臍転移に起因した皮膚障害がQuality Of Lifeを低下させる原因となることもあり,症例によっては臍転移の外科的切除の検討が必要である.