2024 年 49 巻 4 号 p. 360-366
症例は72歳女性.数日前より出現した胸部絞扼感,嘔吐にて救急外来を受診した.腹部CTでは胃体部が縦隔内に脱出しupside down stomachを呈していた.内視鏡での整復は困難で閉塞を伴っていた.食道裂孔ヘルニアに合併した胃軸捻転症と診断し,準緊急で腹腔鏡下手術を施行した.ヘルニア囊を剝離後,食道裂孔を縫縮しcomposite meshを用いてヘルニア修復術を行った.逆流防止目的で噴門形成術(Toupet法)を追加して手術を終了した.術後経過は良好で第12病日に退院した.術後1年の現在,逆流症状および再発なく経過は良好である.食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡下手術は広く行われ増加傾向であるが,噴門形成術の追加の有無については明確な基準が提示されていない.今回upside down stomachを呈した食道裂孔ヘルニアに対し腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術に加え噴門形成手術を施行し良好な経過をとった1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.