日本外科系連合学会誌
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異なる臨床症状を呈したMorgagni孔ヘルニア2例の検討
福井 貴巳横尾 直樹東 久弥白子 隆志山口 哲哉
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1999 年 24 巻 4 号 p. 629-633

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抄録
異なる臨床症状を呈した2例のMorgagni孔ヘルニアを経験したので報告する。症例1は55歳, 女性。自覚症状なし。胸部XP上右下肺野心横隔膜角に腫瘤影を, 胸部CTにて右胸腔内に低吸収域を呈する腫瘤を認めた。開腹手術にて, 剣状突起下に大網を内容とする3×2cm大のヘルニア門を確認した。症例2は75歳, 女性。主訴は吐気, 嘔吐。胸部XP上右下肺野心横隔膜角に消化管ガス像を, 胸部CTにて症例1と同部位に消化管ガス像を認めた。開腹手術にて, 肝円索の左右両側にヘルニア門を確認, 右側は3×2cm大で内容は横行結腸と大網, 左側は2×1cm大で内容は胃前庭部であった。両症例共ヘルニア嚢切除後, ヘルニア門を縫合閉鎖した。Morgagni孔ヘルニアの診断・治療に際しては, 陥入臓器により全く異った臨床症状を呈すること, 又ヘルニア門が必ずしも1カ所とは限らないことに留意する必要があると思われた。
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