日本外科系連合学会誌
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上行結腸のblind looPに生じた大腸癌の1例
渡辺 誠保田 尚邦草野 満夫
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キーワード: 盲係蹄, 大腸癌
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2002 年 27 巻 4 号 p. 664-667

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抄録

症例は57歳の女性。右上腹部に腫瘤を指摘され当科受診した。17歳, 40歳時に下部消化管手術を受けていたが詳細不明であった。注腸検査にて, 上行結腸は肝彎曲部でblind loopとなっており, 同部に壁不整を認めた。横行結腸―小腸およびS状結腸―盲腸吻合がなされていた。また腹部CT検査にて腫瘍のため肝臓は著しく変形し, 周囲臓器への直接浸潤が疑われた。以上より, blind loopに生じた大腸癌と診断し手術を施行した。術式は, 結腸右半切除, 右横隔膜, 胆嚢合併切除, 十二指腸, 肝部分切除, 幽門側胃切除, 胃空腸Roux-Y吻合であった。病理診断は中分化腺癌, 壁深達度はsi (横隔膜, 十二指腸, 胆嚢), n0, StageIIIa, 根治度Aであった。17年以上存在していたblind loopに発癌が生じた極めて興味深い症例で, 発癌との関係について若干の文献的考察を加えて報告した。

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