日本外科系連合学会誌
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慢性関節リウマチに対するメトトレキサート治療中に悪性リンパ腫による回腸穿孔性腹膜炎を併発した1例
岩瀬 和裕山東 勤弥位藤 俊一三方 彰喜水島 恒和野中 健太郎井手 春樹今北 正美
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2004 年 29 巻 4 号 p. 801-805

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抄録
慢性関節リウマチ (RA) に対するメトトレキサート (MTX) 治療中に発症した悪性リン腫により回腸多発穿孔を併発した1例を報告した。症例は87歳, 女性。近医にてMTX2mg/週を1年半, その後MTX4~6mg/週を1年間使用中のところ, 急性腹症にて紹介された。CT検査にて腹腔内遊離ガス像, 胸腹水, 肺炎像を認め, 緊急開腹手術を施行した。回腸に3カ所の穿孔を認め, 80cmの回腸を切除した。粘膜面には縦走する卵円形潰瘍を認め, 病理組織所見では悪性リンパ腫 (diffuse large, B cell) であった。2カ月後にリハビリ続行のため前医へ転院した。術後3カ月目のCT検査では腹腔内にリンパ節腫大は認められなかった。MTXに起因するリンパ増殖性疾患には消化管を主座とする病態も存在し, かかる症例では穿孔性腹膜炎など重篤な合併症を併発しえる可能性をも念頭に置く必要があると考えられた。
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