2010 年 39 巻 3 号 p. 111-113
馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤の症例では,腎峡部および異所性血管の処理が重要となる.症例は83歳,女性.馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤を指摘されていた.術前CT所見では左右腎主動脈のほかに,右総腸骨動脈より2本の腎副動脈を認めた.さらに,左腎副動脈は2本に分岐し,それぞれ左右腎下極に流入していた.手術では,腎峡部を離断し人工血管で置換した.腎峡部は線維性結合織で構成されており,離断し断端形成した.また,左腎副動脈右腎下極枝は温存困難な場所にあり,細く結紮切離した.尿漏出などの異常は認めなかった.腎峡部,腎副動脈の1本を処理したが,主要腎副動脈を温存し,人工血管置換術を安全,確実に行い良好な結果を得た.