日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
心外膜格子状切開術(waffle procedure)とステロイド治療が奏効した IgG4 関連心外膜炎の1例
山下 慶悟阿部 毅寿多林 伸起吉川 義朗早田 義宏廣瀬 友亮平賀 俊亀田 陽一胡 英浩谷ロ 繁樹
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2012 年 41 巻 2 号 p. 95-98

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抄録
症例は74歳,男性.労作時の息切れを主訴に近医を受診した.精査加療目的に入院加療を受けたが,症状の改善を認めなかった.心嚢液の貯留を認め,当院循環器内科に心不全の診断で転院し,経皮的心嚢ドレナージを施行された.その後も浮腫は増強し,症状の改善を認めなかった.収縮性心膜炎の診断で当科に紹介され,手術を施行した.手術は心膜切除術を行ったが,血行動態の改善を認めず,心外膜に格子状の切開を加えるwaffle procedureを追加施行した.術後浮腫も消失し,NYHA 4度から2度へ改善した.病理所見でIgG4関連心外膜炎と診断された.ステロイド治療も奏効し社会復帰した.今回,稀なIgG4関連心外膜炎の治療を経験したので報告する.
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