抄録
症例は74歳,男性.労作時の息切れを主訴に近医を受診した.精査加療目的に入院加療を受けたが,症状の改善を認めなかった.心嚢液の貯留を認め,当院循環器内科に心不全の診断で転院し,経皮的心嚢ドレナージを施行された.その後も浮腫は増強し,症状の改善を認めなかった.収縮性心膜炎の診断で当科に紹介され,手術を施行した.手術は心膜切除術を行ったが,血行動態の改善を認めず,心外膜に格子状の切開を加えるwaffle procedureを追加施行した.術後浮腫も消失し,NYHA 4度から2度へ改善した.病理所見でIgG4関連心外膜炎と診断された.ステロイド治療も奏効し社会復帰した.今回,稀なIgG4関連心外膜炎の治療を経験したので報告する.