抄録
症例は10歳女児.生後心雑音を指摘され心室中隔欠損症(以下VSD)と診断された.経過観察されていたが,生後より認めた漏斗胸も目立ち始め,同時手術の適応も含め当院小児科・当科に紹介となった.体重26 kg,体表面積0.99 m2,心臓カテーテル検査で肺動脈圧平均15 mmHg,Qp/Qs=1.1と肺高血圧なく合併奇形も認めなかった.心エコー所見と併わせ筋性型流出部VSDと診断した.漏斗胸は胸骨体尾部~剣状突起の陥凹で,CT indexは2.99であった.同時手術の方針とした.胸骨正中切開にて体外循環を確立し,心停止後右房アプローチでVSDをパッチ閉鎖した.心膜閉鎖後,左右胸腔にドレーンを挿入し,漏斗胸操作へ移行した.縦隔から胸腔に入り,直視下・指ガイドでテープを通した.止血を確認後,テープをガイドとして金属バーを挿入し,両端をスタビライザーで固定した.術後3時間で人工呼吸を離脱し,術翌日に一般病床へ転棟し経過順調であった.2年後,全身麻酔下にバーを抜去した.縦隔内,胸腔内ともに有意な癒着なく,抵抗なくバーは抜去でき,順調に経過した.