日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
重症三尖弁閉鎖不全症に対し自己心膜による弁尖拡張を追加した弁形成術の1例
小野 公誉黒田 弘明
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2013 年 42 巻 2 号 p. 137-140

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抄録

症例は71歳女性で,52歳時心房中隔欠損症に対する直接閉鎖術を受けた既往があり,このとき三尖弁逆流を放置された.18年後には著明な心拡大を呈し,僧帽弁閉鎖不全症および三尖弁閉鎖不全症による末期心不全状態で入退院を繰り返していた.やがて内科的治療が困難となったので,手術を行った.僧帽弁輪縫縮術,三尖弁形成術,両心房縫縮術および心筋電極ペースメーカー移植術を行った.三尖弁形成については,自己心膜を用いて前尖を拡張し,大きめの人工弁輪を用いて弁輪縫縮を行った.術後両弁逆流は消失し第63病日に独歩退院した.弁尖拡張は,耐久性の問題など今後も慎重な経過観察が必要ではあるが,著しい弁輪拡張を伴う三尖弁閉鎖不全症には有効な形成法と考える.

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