日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
小児における circular LA resection による左房縮小術の2治験例
八神 啓村山 弘臣長谷川 広樹前田 正信
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2015 年 44 巻 2 号 p. 103-107

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抄録
巨大左房は,長期間僧帽弁疾患を罹患した結果生じることが多く,小児での報告は少ない.当院では,先天性僧帽弁閉鎖不全症(MR)に続発した巨大左房症例のうち,左房拡大による有症状小児に対して,僧帽弁形成術(MVP)と併せてcircular LA resectionによる左房縮小術を施行している.その経過について,2例の経験を報告する.症例1は1歳の男児.心雑音を契機に,IV度のMRと巨大左房を診断した.気道狭窄音を認め,胸部CTにて,拡大した左房による左気管支の圧迫狭窄がその原因と診断した.MVPとcircular LA resectionによる左房縮小術を行うと,術後/術前の左房容積比は0.23で,心胸郭比(CTR)は,術前後で60%→49%となった.気道狭窄音は消失し,術後経過良好であった.症例2は12歳の女児.部分型房室中隔欠損症に対し,1歳時に,他院で心房中隔一次孔欠損閉鎖,MVPの施行後であった.転居に伴い当院紹介となり,外来経過観察中にMRの増悪を認めた.胸部CTでは,拡大した左房と胸骨,脊椎によって右房が圧迫されており,右心不全症状を認めた.この症例に対し,MVPとcircular LA resectionによる左房縮小術を行った.術後/術前の左房容積比は0.22で,術前後のCTRは63%→57%となった.右心不全症状は改善し,術後経過良好であった.巨大左房を合併する僧帽弁疾患に対して,MVPに加えてcircular LA resectionを施行することで,効果的に左房縮小が可能であった.本法は,小児においても,症例を選んで検討するべき手技であると考えている.
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