日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
症例報告
初回手術より7カ月後に左房内多発性再発を認めた心臓原発粘液線維肉腫の1例
飯田 淳森島 学植山 浩二
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 44 巻 2 号 p. 112-116

詳細
抄録
心臓原発腫瘍は稀な疾患であり,心臓粘液線維肉腫はそのなかでもきわめて発生頻度の低い腫瘍である.そのため鑑別疾患に上がりにくく,術前確定診断は困難であり,さらに見慣れない病理所見であるがゆえに悪性度によっては他疾患との識別が困難な場合がある.今回初回手術時の病理所見で粘液腫と診断され,再発時の再検討で粘液線維肉腫の診断にいたった心臓原発腫瘍の症例を経験したので報告する.症例は63歳女性.労作時呼吸苦で近医を受診し,心エコーで左房内腫瘍を指摘された.腫瘍は僧帽弁前尖弁輪部近傍の中隔に茎をもつ,44×20 mmの多房性,可動性のものであった.腫瘍による僧帽弁狭窄症から心不全症状を呈しており,塞栓症の危険性も高いことから手術適応となった.手術は体外循環下に,腫瘍切除,僧帽弁輪形成術,三尖弁輪形成術を行った.術後病理診断は粘液腫であった.初回手術より7カ月後に下腿浮腫,呼吸苦の症状で当院を受診した.左房中隔,僧帽弁輪前後尖部に多発性の腫瘍再発を認めた.心血管系病理専門医に前回の病理所見の再確認を依頼したところ,粘液線維肉腫が疑われた.腫瘍による心不全所見を認めたため症状緩和目的に,腫瘍切除術を行った.腫瘍は左房自由壁,僧帽弁前尖弁輪,後尖弁輪に計3個認め,心房自由壁は壁ごと切除したが,僧帽弁輪部の腫瘍は可及的掻把を行うにとどまった.術後の病理診断で粘液線維肉腫と確定診断された.病理所見は前回の所見と比較し悪性度の上昇を認めた.術後は僧帽弁閉鎖不全が残存し,心不全コントロールに難渋した.腫瘍の右胸腔内への進展と腫瘍塞栓による脳梗塞の合併を認め,再手術5カ月後(初回診断から12カ月後)に心不全増悪と呼吸不全のため死亡した.死後の剖検で,粘液線維肉腫は心臓原発であると確定した.
著者関連情報
© 2015 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top