2017 年 46 巻 3 号 p. 119-121
症例は84歳女性.重症大動脈弁狭窄症(AS)で失神発作と心不全を繰り返しており,冠動脈病変を合併していた.低心機能,腎機能低下,大動脈高度石灰化を伴っており,開心術ハイリスクと考えられたため,心尖部アプローチ経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)とオフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)を同時施行した.術後経過は良好であった.重症AS患者はしばしば冠動脈疾患を合併しており,症例に応じた治療の選択が重要である.開心術ハイリスク症例において,TAVRとOPCABの同時施行は有用な治療選択肢と考えられた.