2017 年 46 巻 5 号 p. 243-246
症例は79歳男性.2年半前に大動脈弁狭窄症で大動脈弁置換術(CEP magna ease 21 mm®)を施行し,その2カ月後に洞不全症候群で恒久的ペースメーカ植え込み術を施行後,人工弁感染の疑いとうっ血性心不全の診断で入院し抗菌薬の投与を開始した.しかし,経過中発熱が持続し経胸壁心エコー図で僧帽弁後尖に20 mm大の疣贅を認めたため難治性感染性心内膜炎の診断で,緊急手術を施行した.術中所見では,石灰化した弁輪部に膿瘍を形成しており,一部自壊し,そこから疣贅が伸びていた.可能な限り感染巣を郭清し,ウシ心嚢膜パッチで弁輪再建後に僧帽弁置換術(CEP magna mitral ease® 23 mm)を施行した.人工弁周囲逆流予防のために人工弁にウシ心嚢膜カラーを付けて弁輪補強を行った.手術から1年半後の現在も感染の再燃や弁周囲逆流なく経過は良好である.