日本心臓血管外科学会雑誌
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[先天性疾患]
稀な先天性左冠動脈閉鎖 (LMCAA) を伴った僧帽弁閉鎖不全症の1手術症例
木下 肇村田 聖一郎数野 圭佐藤 博重
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2018 年 47 巻 1 号 p. 18-21

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抄録

症例は65歳女性.2012年に労作時胸痛を主訴に当院を受診した.冠動脈造影CTで左冠動脈主幹部(LMT)が先天的に閉鎖したLMCAA(Left Main Coronary Artery Atresia)と診断された.右冠動脈(RCA)からの数本の側副血行路が発達しており左前下行枝(LAD)領域に還流していた.症状が一過性であったため経過観察となっていた.2016年末から労作時呼吸困難が増悪した.トレッドミル運動負荷試験でII・III・aVFおよびV4~6でST低下を認めた.また,心エコーで僧帽弁前尖の逸脱による重度僧帽弁閉鎖不全症(MR)および中等度三尖弁閉鎖不全症(TR)を認めたため手術治療の方針となった.2017年3月僧帽弁形成術(MVP),三尖弁形成術(TAP)および冠動脈バイパス術1枝(LITA-LAD)を施行した.術後経過は良好で第14病日に自宅退院した.LMCAAは既報53例程度と稀な疾患で,成人期における手術報告はほとんどないため文献的考察を加えて報告する.

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