日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
腹部大動脈瘤破裂術後の閉腹困難例に対する腹部 VAC 療法の経験
渡邉 大介内田 徹郎浜崎 安純黒田 吉則大塲 栄一山下 淳林 潤髙橋 愛中井 信吾貞弘 光章
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2018 年 47 巻 1 号 p. 36-39

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抄録

腹部コンパートメント症候群(ACS)のため一期的閉腹が困難な開腹術後の症例に対し,腹部臓器保護を目的とした腹部VAC療法が行われている.今回,われわれは腹部大動脈瘤破裂の手術後に閉腹困難となったACSを呈した2症例に腹部VAC療法を施行した.症例1:72歳,男性.腹部大動脈瘤破裂にステントグラフト内挿術を施行したが,術直後からACSを呈したため,緊急開腹による減圧を行い,開腹のままVAC療法を開始した.第4病日に二期的に閉腹し,術後経過は良好であった.症例2:71歳,男性.腹部大動脈瘤破裂に対し,開腹下の人工血管置換術を施行した.著明な腸管浮腫と大量の後腹膜血腫のため,一期的閉腹は困難と判断し,腹部VAC療法の方針とした.適宜VACシステムを交換し,第7病日に二期的閉腹が可能であった.一期的閉腹が困難なACS症例の術後開腹管理に腹部VAC療法は有効と考える.

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