日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
[大血管]
ハイドロフィット使用後の遠隔期摘出例
園田 拓道牛島 智基大石 恭久檜山 和弘帯刀 英樹田ノ上 禎久塩瀬 明
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 47 巻 2 号 p. 62-65

詳細
抄録

大血管手術に際しては吻合部出血の制御をいかに速やかに行うことができるかが重要であるが,従来の血液由来成分を含む止血剤に加えて,近年,新規のコンセプトに基づき開発されたウレタン系止血剤であるハイドロフィット(販売名 マツダイト:三洋化成工業)が登場し胸部大動脈人工血管置換術における止血に貢献している.本剤は,血液などの水分と接触することで発泡しながら,ただちにエラストマーへ変化し周辺組織へ強力に接着して止血能力を示すため,ヘパリン存在下であっても止血できる特徴を持つ.われわれは,過去に塗布されたハイドロフィット使用症例に対して4年8カ月後の遠隔期に再手術を行った際に本剤を摘出した経験をしたので報告する.

ハイドロフィットは特定生物由来製品をまったく含まないことから血液感染症の可能性はなく,吻合部へ塗布された部分は薄膜エラストマーとして良好な接着状態を維持しており,長期にわたり非常に良質な接着剤として機能していることが示された.日心外会誌47巻2号:62-65(2018)

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top