2018 年 47 巻 3 号 p. 105-108
症例は64歳女性.感冒様症状を主訴に近医を受診した.胸部X線写真にて心拡大を指摘され,心臓超音波検査にて左室内に21×14 mm大の有茎性で可動性のある腫瘤性病変を認めた.塞栓症を回避することと病理診断を目的に手術の方針とした.腫瘤性病変は前乳頭筋にstalkを持つ弾性軟な病変であり,直視下での腫瘍の観察と切除は困難と考え,内視鏡下に腫瘍の完全切除を施行し,病理組織にて乳頭状弾性線維腫と診断された.左室内に生じた乳頭状弾性線維腫は非常に稀であり,また内視鏡下切除が有用であったため文献的考察を含め報告する.