2019 年 48 巻 2 号 p. 125-127
内科的治療抵抗性や心タンポナーデ兆候を示す難治性心嚢液貯留に対しては外科的治療が推奨されている.今回われわれは,難治性心嚢液貯留に対し,デンバーシャントを応用した外科的治療を経験したので報告する.症例は60歳女性.全身性エリテマトーデスに合併する心膜炎,心嚢液貯留に対して心嚢ドレナージを行っていた.その後も心嚢液貯留を繰り返し,今後心タンポナーデを来す可能性が考えられたため,外科的治療の方針とした.胸腔鏡補助下に右側心膜開窓術を行ったのち,デンバーシャントを用いて右胸腔-腹腔シャント術を施行した.術後,心不全症状は消失し,心嚢液も著明に減少し,良好な経過をたどった.現在も心嚢液の再貯留なく経過観察中である.デンバーシャントは術後感染例や閉塞例も報告され,注意深く経過観察が必要であるとともに,自己管理の可能な患者選択が重要である.