2019 年 48 巻 3 号 p. 170-172
心臓腫瘍において,心内膜への転移性腫瘍は比較的稀と報告されている.今回われわれは食道原発性転移性心臓腫瘍において,右心房・右心室内膜への転移症例を経験した.腫瘍は可動性に富み,肺塞栓症での突然死のリスクがあった.食道癌としては5年生存率約11%であったが,突然死のリスク軽減のために腫瘍摘出術を施行した.術後経過は良好であり,現在食道外科外来にて化学療法を継続,ADLとしては自宅生活可能である.腫瘍摘出によって,QOLの改善,突然死のリスクを軽減できることは予後にはかかわらず,有用であると考えられた.