2019 年 48 巻 4 号 p. 267-271
症例は異所性左鎖骨下動脈,右側大動脈弓の69歳男性.2017年12月に冠動脈バイパス術(CABG)3枝を施行した.2018年4月に腹部大動脈瘤(AAA)切除,人工血管置換術を施行した.2018年5月に施行したCTで偽腔開存型のStanford A型大動脈解離(AAD)が判明した.冠動脈バイパスグラフトを含む冠血流を冠動脈CTにて評価した後に待機的手術(上行弓部大動脈部分置換,大伏在静脈(SVG)再建)を行った.開心術後に発症するAADは特発性AADと発症様式など異なる点があり,特にCABG後のAADでは術前の冠動脈グラフト評価が望ましい.本症例は右側大動脈弓も合併した稀な症例であり,報告する.