2019 年 48 巻 5 号 p. 327-329
症例は72歳,男性.28歳時にリウマチ性大動脈弁狭窄症に対してStarr-Edwardsボール弁(9A model 2320)を用いた大動脈弁置換術を施行された.2015年4月にNYHA IIIの心不全で入院となった.心エコーで大動脈弁位の圧較差の著明な増大,僧帽弁狭窄症,三尖弁閉鎖不全症の進行を認め手術加療となった.手術は大動脈弁と僧帽弁の2弁置換と三尖弁輪縫縮術を施行した.Starr-Edwardsボール弁のケージの被覆布は破損しており(cloth wear),また弁直下に全周性のpannus増生を認め,これが内腔を狭小化させており圧較差増大の主因と考えられた.本症例は初回手術から術後45年が経過しており,筆者らが検索する限りでは大動脈弁再置換において本邦最長例であった.