2025 年 54 巻 1 号 p. 1-4
症例は71歳の男性.急性下壁心筋梗塞(AMI: acute myocardial infarction)後の心不全増悪を契機に心室中隔解離を伴う心室中隔穿孔(VSP: ventricular septal perforation) を認めた.心不全症状は大動脈バルーンパンピングと利尿剤の使用で安定したため,AMI発症から23日目,VSP同定から12日目に左室切開アプローチでVSP閉鎖術を行った.右室側穿孔部は単純にパッチ閉鎖し,左室側穿孔部は2重パッチによるinfarct exclusion法に準じて閉鎖した.中隔解離腔にはBioGlue Surgical Adhesive(Artivion, Inc.Kennesaw, GA, USA)を封入した.経過は良好であり,術後36日目に自宅退院となった.術後1年6カ月が経過し,NYHA I度で外来通院中である.