日本心臓血管外科学会雑誌
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感染性心内膜炎の外科治療の検討
尾崎 直内田 敬二浜田 俊之戸部 道雄佐藤 順
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1992 年 21 巻 5 号 p. 424-430

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抄録

感染性心内膜炎 (IE) の15症例に対し手術を施行し手術適応, 手術方法, 成績について検討した. 男性13例, 女性2例で平均年齢は48.5歳である. 活動期IEは8例でそのうちの2例は人工弁感染 (PVE) であった. 疾患は大動脈弁閉鎖不全4例, 僧帽弁閉鎖不全2例, PVE3例, VSD3例などであった. 起炎菌は血液培養陽性は5例で緑連菌3例, グラム陰性菌, ブドウ球菌が各1例, 弁培養陽性は3例でグラム陰性菌2例, 腸球菌1例であった. 自然弁の全症例に vegetation が認められ心エコー検査が有用であった. 手術死亡は3例でそのうち2例は活動期PVEであった. 予後を左右するのは心不全, 脳梗塞の合併などであるがこれらの症例は積極的に手術を行うべきである. とくに活動期のPVEは死亡率が高く診断がつき次第手術に踏み切り, かつ手技的には感染巣に直接, 縫合を行わない工夫が必要である.

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