1995 年 24 巻 6 号 p. 392-394
慢性腎不全を合併した心大血管手術の術後管理に術後早期から使用した持続的血液濾過透析 (CHDF) が有効であった2症例を経験した. 症例1は透析歴はないが慢性腎不全を指摘されていた74歳男性で, 腹部大動脈瘤破裂に対しY字人工血管グラフト移植術を施行した. 症例2は10年前から慢性維持透析中の55歳男性で, 大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症に対し大動脈弁置換術を施行した. 両症例とも血行動態が不安定な手術当日からCHDFを使用したが, 大きな血圧変動は認められず, 大量輸血にもかかわらず血液電解質濃度はほぼ正常範囲内に保たれた. CHDFは任意に除水量設定が可能なうえ緩徐に除水するため, 血行動態に与える影響が少なく, 容易な水分・電解質管理を可能にした. CHDFは慢性腎不全合併症例の術後早期からの管理に有用であると考えられた.