抄録
本研究では,給餌量を同一にしてLAT,FOS,GSおよびIMOを配合した飼料でラットを約6週間飼育し,成長,高浸透圧性下痢誘発性,糞便形状の変化,血清脂質濃度,短鎖脂肪酸生成および菌体酵素活性などを指標にして比較・検討した。得られた結果は以下の通りである。1.給餌量を同一にした本研究では,ラットの成長,血清トリアシルグリセロール,コレステロールおよび遊離脂肪酸濃度,空腹時血糖および血清タンパク質濃度に群間による有意な差異は観察されなかった。2.LAT群およびFOS群は高浸透圧性下痢を誘発したが,対照群,GS群およびIMO群は下痢を誘発しなかった。3.LAT群およびFOS群は糞便性状の明確な改善が観察され,GS群は穏やかな改善が観察されたが,対照群およびIMO群はほとんど変化がみられなかった。4.盲腸組織重量はLAT群,FOS群ならびにGS群において増加がみられ,盲腸内容物重量はLAT群およびFOS群で増加した。5.盲腸内容物重量あたりの短鎖脂肪酸量はLAT群およびFOS群で顕著に高かったが,GS群およびIMO群は対照群と差がなかった。6.糞便のβ-グルクロニダーゼならびにβ一グルコシダーゼ活性は,LAT群ならびにFOS群において低値を示したが,GS群およびIMO群では低下しなかった。 以上の結果,LATおよびFOSは消化されずに大腸へ到達して腸内細菌を介した種々の生理作用を発現するが,IMOは容易に消化されるために腸内細菌を介した生理作用は期待できず,一部消化されるGSはLATおよびFOSとIMOの中間的な腸内細菌を介した生理作用を発現することが明らかになった。