2008 年 12 巻 1 号 p. 9-15
長崎県海岸部の海砂から分離したVibrio alginolyticus SUN53(登録番号NITE-P-14)を用いて,平均分子量30万以上のアルギン酸ナトリウムを分解し,この小分子分解物を用いてラット小腸粘膜二糖類水解酵素に対する阻害作用を検討した。その結果,アルギン酸小分子分解物水溶液はラット小腸粘膜スクラーゼ,マルターゼ,イソマルターゼ,トレハラーゼおよびラクターゼに対して阻害作用を示し,その機序は拮抗阻害であることが明らかになった。また,阻害効果は,スクラーゼに対して強く,トレハラーゼに対しては弱いことが明らかになった。以上の結果,SUN53菌によって分解されたアルギン酸小分子分解物は,今後,血糖上昇抑制作用を持つ食品素材として,生活習慣病の予防に寄与する可能性のあることが示唆された。