2022 年 27 巻 1 号 p. 42-47
【背景】平成28年熊本地震において、当院は震源から最も近い救命救急センターであり、多くの手術症例を経験した。【目的】熊本地震における手術症例を振り返り、地方都市における直下型地震の手術症例の特徴を明らかにし、今後の災害対応計画構築の一助とする。【方法】前震発生から外来制限を行っていた期間のうち、手術が必要であった46例を対象とした。【結果/考察】3件は転院となったが43件は当院で手術を行った。そのうち整形外科の症例が半分以上を占め、ほとんどが震災関連の外傷であった。発災初期は頭部・体幹部外傷も増えると予想していたが、四肢外傷以外の震災関連手術はなかった。地方都市の直下型地震では整形外科の負担増加は必発であるが、他の外科系の手術負担増加は限定的であると考えられた。【結語】地方都市の直下型地震では整形外科の負担増加は必発であり、負担を分散するような対応が望まれる。