2025 年 30 巻 3 号 p. 138-146
【目的】災害医療者が、傷病者受け入れを考慮した建築設計に介入できる機会はあまりなく、動線確保などの様々な課題を有している施設がある。そこで災害拠点病院の傷病者受け入れ時に使用される諸室と、災害医療者の建築設計時の介入状況と要望を明らかにする。【方法・対象】災害拠点病院にアンケート調査を実施した。有効回答数は67施設であった。統計分析などを用い、結果を考察した。【結果】外来入口前はトリアージエリア、救急処置室は赤エリアとして使用される可能性が高いことなどを把握した。また各エリアとも災害医療者介入の必要性評価は高いが、黒エリアと比較した際にはトリアージエリアと赤エリアの介入の必要性評価が高いことが示された。【結語】相対的にトリアージエリアと赤エリアの必要性評価が高かったことから、これらの計画用途として多く挙げられている外来入口前、エントランスホール、救急処置室は優先的に災害医療者介入が必要と考える。