抄録
本研究の目的はin vitroで垂直破折に関与すると考えられる3つの要因,根尖孔の太さ,根管充填の長さ,圧入長さについて検討することである.ヒト上顎中切歯を根管充填後,歯根を即時重合レジンに包埋し,万能試験機を用いて根管充填材をコバルトクロム合金線で加圧した.試験後の破折様相と荷重について順序ロジスティック解析および分散分析を行った.88.8%に垂直破折が認められ,本実験系は垂直破折を検討するのに有効と考えられた.垂直破折に関与する因子として根尖孔の太さと根管充填の長さの交互作用が有意だった(p<0.05).そして,その二つの因子の組み合わせにより破折様相が大きく異なった.また破壊荷重は根尖孔が大いほど小さかった.