歯科材料・器械
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22 巻, 6 号
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原著
  • 水本 登志雄, 新家 光雄, 赤堀 俊和, 加藤 圭, 福井 壽男
    原稿種別: 本文
    2003 年 22 巻 6 号 p. 459-468
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    種々の熱処理を施した12mass%金含有歯科用金銀パラジウム合金につき,種々の腐食環境中で摩擦摩耗試験を行い,摩耗により減少する重量に及ぼすミクロ組織および腐食環境の影響について検討した.いずれの腐食環境中においても金属間化合物であるβ相をより多く析出する溶体化処理後に時効処理(溶体化時効処理)を施した本合金の試験片の摩耗により減少した重量は他の熱処理(溶体化処理)材と大きく変わらないが,相手材(受け入れまま状態の本合金)の摩耗により減少した重量は溶体化時効処理材が他の熱処理材の場合に比べて小さくなる.本合金の摩耗形態は,凝着摩耗であり試験片および相手材の摩耗により減少した重量の合計は,接触面の表面粗さに相関する傾向を示す.また,接触面近傍の硬さがこの表面粗さを変化させる原因と推察される.
  • 城所 忠彦, 太田 祐介, 加藤 敏美
    原稿種別: 本文
    2003 年 22 巻 6 号 p. 469-474
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    う蝕は,歯の表面に食物や活性化した細菌の共存によって起こるとされている.う蝕の原因として食物成分の歯への吸着性を明らかにするために,食物中に多く含まれている脂質の主成分であるオレイン酸およびリノール酸をエナメル質の表面に付着させ,その表面状態を接触角で評価した.さらに,ニコチンが歯に吸着した表面を同様に測定した.エナメル質の表面としては,旭光学製のカルシウムアパタイトプレート板を用いた.人工唾液としては,カルボキシメチルセルロースのNa塩(cmc-Na)とヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の二種類を採用し,純水に溶解したものを用いた.各人工唾液にオレイン酸およびリノール酸を溶解したものを試料溶液とした.ニコチンについても同様人工唾液に溶解した.その結果,添加した各脂質の濃度を増すと接触角は増大傾向を示した.それぞれ人工唾液脂質溶液中に浸した各アパタイト表面の最大の接触角は, cmc-Naでは71°, HPCでは37°を示した.一方,ニコチンが付着した表面は,広い濃度範囲にわたって接触角が20°以下を示すことが認められた.
  • 平林 茂
    原稿種別: 本文
    2003 年 22 巻 6 号 p. 475-484
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    4種のワンステップボンディングシステム(AQ Bond,0ne-up Bond F, Reactmer Bond, Xeno CF II Bond)および対照として1種のウェットボンディングシステム(Excite)の接着性を,それらのレジン/象牙質接着界面の走査電子顕微鏡観察により評価した.レジンの象牙質に対する適合性と樹脂含浸層の生成状態を評価するため,レジン/象牙質接着縦断面の研磨面,およびそれを1N-HClで40秒処理後, 2.5%NaClOで10分処理した面を観察した.また,レジンタグの生成状態を評価するため,接着試料を6N-HClに2日間浸漬して象牙質を脱灰後, 5%NaClOで10分処理したレジン側試料を観察した.
  • 倉持 健一
    原稿種別: 本文
    2003 年 22 巻 6 号 p. 485-495
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,酸性フッ素リン酸溶液の塗布がフッ素徐放性修復材料に及ぼす影響について検討を行った.実験にはグラスアイオノマー系材料の計3種類を使用した.各材料について円盤状試料を作製した.練和あるいは重合開始1時間後に,各試料を37℃イオン交換水中に21週間まで浸漬した.フッ素のリチャージングは,イオン交換水浸潰3, 6, 9, 12, 15, 18週後に酸性フッ素リン酸溶液を用いて行った.間接引張強さはイオン交換水浸漬24時間後に測定(ベースライン値)し,その後3週間ごとに測定した.実験に使用した各材料について,酸性フッ素リン酸溶液によるフッ素のリチャージングを繰り返し行うことによっても間接引張強さの測定値はコントロール値と比較して有意な差は認められなかった(p>0.05).本実験条件ではフッ素徐放性修復材料に対するフッ素によるリチャージングは表層に限局して侵襲を与えるが,材料自体の本質的な強さを劣化させないことが推察された.
  • 上野 修
    原稿種別: 本文
    2003 年 22 巻 6 号 p. 496-509
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    フィラーサイズとフィラー含有量を組み合わせた4種類の試作光重合型コンポジットレジンを高強度のキセノンランプを用いて,光強度,照射時間,試料厚さを変えて光重合した場合の線重合収縮率を天秤式プラストメーターにより計測した.また, JIS規格に準じて硬化深度を測定した.その結果,同じ照射時間であれば光照射強度が大きく,試料厚さが小さく,フィラーサイズが大きく,フィラー含有量が少ないと,重合収縮率は大きくなった.しかし,照射エネルギー(光強度×照射時間)で比較した場合,低エネルギー領域で同じエネルギー量ならば高強度光の方が重合収縮率は小さくなった.さらに,同じ照射時間であれば光照射強度が大きく,フィラーサイズが大きく,フィラー含有量が少ないと,硬化深度は大きくなった.しかし,照射エネルギーで比較した場合,同じエネルギー量ならば高強度光の方が硬化深度は小さくなった.これらのことより,高強度光の短時間照射は,低強度光で同じ照射エネルギーを与えた場合よりも重合硬化が不十分であることが示唆された.
  • 興津 茂登子, 石塚 智康, 吉岡 隆知, 高橋 英和, 須田 英明
    原稿種別: 本文
    2003 年 22 巻 6 号 p. 510-516
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はin vitroで垂直破折に関与すると考えられる3つの要因,根尖孔の太さ,根管充填の長さ,圧入長さについて検討することである.ヒト上顎中切歯を根管充填後,歯根を即時重合レジンに包埋し,万能試験機を用いて根管充填材をコバルトクロム合金線で加圧した.試験後の破折様相と荷重について順序ロジスティック解析および分散分析を行った.88.8%に垂直破折が認められ,本実験系は垂直破折を検討するのに有効と考えられた.垂直破折に関与する因子として根尖孔の太さと根管充填の長さの交互作用が有意だった(p<0.05).そして,その二つの因子の組み合わせにより破折様相が大きく異なった.また破壊荷重は根尖孔が大いほど小さかった.
  • 岩間 宣仁, 新谷 明喜, 松田 哲治, 黒田 芳暁
    原稿種別: 本文
    2003 年 22 巻 6 号 p. 517-524
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    加圧成形によるディオプサイド結晶化ガラス(CaCO3-MgO-SiO2-TiO2-Al2O3)の圧縮強さ,3点曲げ強さ,ダイアメトラル引張強さに及ぼす結晶化熱処理温度と結晶化熱処理時間の影響を検討した.さらに熱膨張,X線回折,組織観察を行った.圧縮強さは635MPaから1483MPa, 3点曲げ強さは179MPaから422MPa,ダイアメトラル引張強さは19MPaから58MPaの範囲を示し,結晶化熱処理温度と時間の増加により変化した.結晶化状態の観察では,ガラスインゴットは結晶の析出していない均一な組織, 890℃ 1分で1〜2μmの結晶がわずかに析出し,900℃ 30 分で3〜4μmの結晶が折出し, 920℃ 30 分になると10μmとなり,温度と時間の増加に伴い析出数の増加および粒の成長がみられた.
  • 高岡 謙次, 廣瀬 英晴, 臼井 伸行, 由井 眞司, 黒谷 友子, 西山 實
    原稿種別: 本文
    2003 年 22 巻 6 号 p. 525-530
    発行日: 2003/10/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    鋳造用リングライナーの引張強さを測定し,ライナーのかさ密度,空隙率,被圧縮率との関係について検討した.ライナーはセラミックファイバー系14種(A群:ロックウール系,B群:セラミックファイバー低温系,C群:セラミックファイバー標準系,D群:セラミックファイバー低温〜標準系,E群:カオリン系)を用いた.引張試験片は,ダンベル型で平行部の幅および長さは10×20mmとした(n=5).ライナーの引張強さは,E群の製品が12.73MPaと著しく大きな値を示し,他の13製品では0.27〜3.01MPaを示した.ライナーの引張強さとかさ密度との間には正の相関が,空隙率との間には負の相関が,被圧縮率との間には負の相関が認められた.
委員会報告
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