2018 年 29 巻 1 号 p. 13-21
他者をほめることが効果的であるとは限らない原因のひとつに,ほめられる側とほめる側のほめのとらえ方のズレがあると考えられる。本研究ではほめの機能や効果のとらえ方の個人差を「ほめへの態度」としてとらえ,その発達的変化と態度形成要因について検討することを目的とした。
中学生,高校生,大学生,成人の計1058名を対象に,ほめへの態度とほめ/ほめられ経験に関する質問紙調査を行った。その結果,「ほめへの態度」は年齢とともに「承認重視」「用い方重視」の態度が強くなり,「基準重視」「表出躊躇」の態度が弱くなることが明らかになった。また「ほめへの態度」形成に影響を与えるほめ/ほめられ経験について検討した結果,ほめられた経験の量よりも,どのようにほめられたかという経験の質から直接影響を受けることが明らかになった。また,ほめた経験は,その頻度がコミュニケーション効果を媒介して態度形成に影響を与えることが明らかになった。