抄録
音声ATMを単独で操作できる視覚障がい者は限られており,初心者にとって理解しやすい音声ガイダンスが望まれている.本研究では,音声ATMの取引項目を熟知していない視覚障がい者が全ての項目を聞いた後に特定の項目を選択する状況を想定し,音声で記憶可能な項目数を明らかにする事を目的とした.中途で全盲あるいは弱視となった若年者による音声ATMの利用を想定し,視覚を遮断した若年晴眼者に対してATMの項目を通し番号と共に音声提示して記憶させ,そこから一つ選出した正解項目の通し番号を回答させる実験を行った.実験変数は一度に音声提示する項目数とし,実験Iでは2,3,4,5,実験IIでは5,7,9,11の4水準とした.実験の結果,項目数2と3ではほぼ正確に早く自信をもって回答したが,項目数4以上では正確に回答できず,人間の短期記憶容量との関連が示唆された.以上より,記憶容易性の観点からは,一度に提示する項目数が3以下となるように設計された音声ガイダンスが有効であると考えられる.