ウェルビーイングの増進は世界保健機関(WHO)の目標の一つであり,国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)のゴール3でも掲げられている.国際人間工学連合や日本人間工学会では,人間工学の目標は,ウェルビーイングとシステム全体のパフォーマンスとの最適化を図ること,としているが,ウェルビーイングの方法論については発展の途上にある.ウェルビーイングを高めるために物や環境,運用方法や社会制度を人間工学的に設計し,実践するためには,具体的な方法論が必要である.ここではその重要性をリサーチ・イシューとして述べ,基礎となる指標の一つとして遊び度を取り上げた.ここでの遊びの定義は,生存を直接の目的とせず,内発的動機づけによる自己の意思決定と行為による脳内報酬系の賦活,とされる.遊び度は,12項目からなる主観評価法である.ウェルビーイングの増進に資する研究や,指標を開発することが,人間工学研究者に求められる.