座位時の姿勢と動作の研究においては,体圧分布と骨盤傾斜角の二つの計測がよく用いられている.筆者らは研究に先立ち,複数の家具メーカーが独自のデザインに基づいてそれぞれに製造したソファを対象に,市販の計測装置を用いて体圧分布と骨盤傾斜角の計測を学ぶ研修会を行った.その結果,自由な着座姿勢を許容するソファの計測においては市販の計測装置よりウェアラブル計測が適当であるとの発想が得られた.そこで大腿骨と腰椎のサジタル(矢状)面における体圧分布(圧プロファイルと呼称する)と骨盤傾斜角を同時計測するためのウェアラブル計測装置を開発した.計測時に自由な姿勢を許容する家具や福祉用具の計測では,市販の装置よりもウェアラブル計測が適切であることが示唆された.