抄録
本研究は, 手の最大作業域を生体計測値と関連づけて表示するために行われた. 身長が5~95パーセンタイルの範囲の日本人成人男女各10名について, 7段階の作業面の高さで, 左右の手の中指先端の到達範囲を測定した. 肩関節中心から中指先端までの距離を動作半径とし, 上肢長あるいは身長に対する動作半径の回帰式を男女別に求めた. 実際の手作業を考慮して, III指長で修正した任意の作業面の高さにおける水平面作業半径を求める式を開発した. 日本および米国の文献にみられる作業域と本研究の式で得られた作業域を比較した結果, 本研究の式により上肢長あるいは身長から任意の高さにおける水平面最大作業域が決定できると考えられる.