抄録
70歳を調査の開始年齢とした男女383名を対象に, 5年間隔で4回の集団健康診断を実施した. 分析方法はすべての集団健康診断を受診した継続群の特徴を主体に, 一部時期しか受診していなかった脱落群の特徴にも配慮しながら, 体格・体力の経年変化について検討した.
4回の集団健康診断をすべて受診した者は, 第1回の受診者全体の16%にとどまった. 老化により体格・体力の低下は進行するものの, その低下速度は一律に進行しにくい特徴が認められた. すなわち, 加齢に伴い身体寸法は萎縮傾向にあったが, その程度は弱まる方向へ, 体重の減少傾向はこれとは逆に強まる方向へ, 開眼片足起立時間は5年ごとにほぼ半減していく方向にあった. 継続群の活動能力, 握力および片足起立時間などは脱落群のそれに比較して高く, また5年間隔当たりの身長, 体重および握力の低下率では継続群のほうが低い水準にとどまった.