人間工学
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海難審判庁裁決録による近年の居眠り海難の特徴に関する研究
漆谷 伸介佐野 裕司村松 園江江原 美穂
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キーワード: 海難, 居眠り, 漁船, 貨物船
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2007 年 43 巻 2 号 p. 64-70

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抄録

近年における居眠り海難の特徴を明らかにするために, 1994~2003年までの10年間の海難審判庁裁決録より居眠り海難の全裁決 (総件数870件) を抽出し, 事故の推移や状況を分析した. 全海難に占める居眠り海難の割合は約3~7%であり, 1991年からは微増傾向を示している. 居眠り海難時の状況を見ると, 天候が晴および曇で, 風力が2以下と比較的穏やかな状況, 1人当直, 自動操舵の使用中および椅子腰掛等安楽姿勢の状態での事故発生率が全船種で高かった. 漁船の居眠り海難の特徴としては, 発航後の時間経過が12時間以上で約5割と高く, 貨物船の特徴としては,海難発生海域で瀬戸内海等が7割と高かった. 漁船と貨物船でそれぞれ特徴が異なったことから, 船種別の対応策の必要性を示唆しているといえる.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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