人間工学
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車いす走行時の肘関節運動と駆動力によるハンプのバリア度評価
斎藤 健治細谷 聡清田 勝
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2007 年 43 巻 3 号 p. 117-123

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抄録

渋滞を避けて, 生活道路を通過する自動車の走行スピードを抑制するためのハンプが, 手動車いす利用者にとってバリアとなるのかについて, 肘関節運動と筋電図を通して推定した駆動力の観点から検討した. 被験者は学生10名であった. 高さ60, 80および100mmのハンプと, 比較対象としての平坦路, スロープ, 段差, 波打ち歩道, 車用切り下げ歩道の8種類を計測箇所として選択した. 左右の肘関節運動の同調性を示す相互相関係数は, 平坦路, スロープ, ハンプにおいて高く, 波打ち歩道と段差において低かった. 駆動力は, 段差と波打ち歩道において有意に大きく, ハンプと平坦路において有意に小さかった. これらの結果から, 運動の容易さと駆動力の点において段差やスロープ, 波打ち歩道といった日常的にみられる構造物に比して, 車いす走行に対するハンプのバリア度は低いと評価できた.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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