2016 年 23 巻 1 号 p. 44-49
壊死組織の除去を目的に直流微弱電流刺激療法(LIDC:Low Intensity Direct Current (Stimulation) Therapy)を実施した.対象は,仙骨部のstageⅣの褥瘡,直達牽引にてピン挿入部に発生したMDRPU(Medical Device Related Pressure Ulcer;医療関連機器圧迫創傷),皮弁後に創傷部が壊死した潰瘍の3症例である.方法は,創面に生理食塩水を含んだガーゼを置き,ポリウレタンフィルムで被覆後,棒状電極を挿入(関電極)した.不関電極は周囲の健常皮膚面に貼布した.極性は壊死組織を除去する目的で創面上を陽極とした.電気刺激装置(伊藤超短波社製;ES-530®)を使用し,刺激強度170 mA,刺激幅250 ms(直流パルス波),周波数2 Hz,刺激時間40分を週5回実施した.毎日の洗浄とデキストラノマー(デブリサンペースト®)塗付を併用した.3症例すべてで壊死組織の融解を認め,外科的デブリードメントが必要な症例では,安全で正確なデブリードメントが実施された.中止に至る副作用は認めなかった.