教育カウンセリング研究
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通常学級における特別支援の必要な児童の支援のあり方の検討――学級集団の影響を考慮して――
武蔵 由佳河村 茂雄
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2019 年 9 巻 1 号 p. 9-14

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抄録
本研究は,通常学級における特別支援対象児童も非対象児童も共に良好な相互作用のある学級集団内で 学び合えることを目指して,特別支援対象の有無により,学級満足度の承認や被侵害に,学級集団の機能 が影響を与えているか否かを検討することを目的とした。2013年11~12月,A県B市の全公立小学校6校の 児童2,085名(男子1,053名,女子1,032名),67学級(学級担任67名)を対象とした。結果,承認に関しては,対 象児は非対象児よりも承認得点が低いが学級集団の機能が高い場合にはどちらも得点が高くなることが示 唆された。被侵害に関しては学級機能が高い場合には対象児も非対象児も被侵害が低くなるが,対象児の 下がり方は非対象児よりも相対的に大きく,対象児と非対象児の差が少なくなることが示唆された。対象 児も非対象児も共に同じ学級で生活や学習をすることで,すべての子どもに良い効果をもたらすためには, 学級集団の機能の高さが前提となると考えられる。
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© 2019 日本教育カウンセリング学会
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