体外循環技術
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原著
先天性心疾患手術後に急性腎障害を発症し得る人工心肺関連危険因子の検討
後藤 健宏谷 誠二杉谷 侑亮池澤 優貴山崎 将志佐生 喬行光 昌宏山田 昌子梅津 健太郎高尾 仁二
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2022 年 49 巻 2 号 p. 96-102

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抄録

 人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)の合併症として、急性腎障害(acute kidney injury:AKI)があげられ、AKIを発症させる要因は術前・術中・術後問わず多岐にわたる。なかでも、小児・先天性領域のCPBに対する報告は少ない。そこで、我々は先天性心疾患手術後にAKIを発症し得るCPBに関連した危険因子の解析・検討を行った。

 対象は当院で施行した先天性心疾患手術のうち体重20kg以下のCPB使用症例217例とし、non AKI群:150例(69%)とAKI群:67例(31%)に分類し、危険因子を解析した。

 BSA(OR 0.461, 95%C.I. 0.317-0.732;p=0.008)、CPB時間(OR 1.546, 95%C.I. 1.108-3.527;p=0.021)、最大PF-Hb値(OR 2.142, 95%C.I. 1.276-3.998;p=0.011)、最低DO2値(OR 0.659, 95%C.I. 0.518-0.802;p=0.032)が独立した危険因子として検出された。

 小児・先天性領域のCPBは、生後数日から数か月で心臓血管外科手術に臨むことが多く、体格が小さいにもかかわらず、長い時間CPBの影響を受けるため、血球が損傷しやすくPF-Hbが上昇しやすい特徴があることから、危険因子として検出されたと考えられる。様々な対策を講じているものの、AKIは依然発症している現状があるため、小児・先天性領域の特徴を把握し、さらなる対策を講じる必要がある。

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© 2022 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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