1995 年 21 巻 1 号 p. 90-92
近年,欧米において,術中および術後の出血量軽減を目的にアプロチニンが使用されるようになったが,同薬剤使用下における活性化凝固時間測定に関して,セライト法(C法)ではカオリンを用いた方法(K法)に比して有意な延長を指摘する報告が見られた。そこで,当施設のアプロチニン投与法において,どの程度の差があるのか,追試する目的で両法の比較検討を行った。症例は1993年4月から同年12月までの開心術24例で,男性13例,女性11例であった。CPB開始前には両法に有意差はなかったが,CPB開始10分後以降からC法のほうがK法に比して有意に延長していた。C法で延長する原因は不明であるが,アプロチニン使用下においては,K法で用いているカオリンがアプロチニンを不活化し,真のACTを反映していると考えられる。同薬剤使用下でK法を用いることは有用と考えられた。