ルールによる課題解決が困難な要因の一つとして,学習者のもつ誤ルールの存在が指摘されてきた。これまでの研究では,誤ルール修正方略の有効性は誤ルールの「強固さ」によって異なることを示している。しかし,従来の研究では全体の解答傾向から誤ルールの存在を想定しているにすぎず,学習者個人の反応パターンからすれば誤ルールが推定されない場合も考えられる。そこで本研究では,大学生46名を対象に教授実験をおこない,事前反応パターンによって誤ルール修正方略(対決型ストラテジー)の効果が異なるかどうかを量的分析により検討した。さらにその結果を説明するために4名にインタビュー調査を実施し,学習場面における思考過程について質的分析をおこなった。量的分析の結果,事前で一貫誤答を示した学習者は事後課題解決においてルールの適用が促進された一方,事前で個別判断を示した学習者は事後課題解決が困難であったことが示された。さらに,質的分析の結果,前者の思考過程は一貫してルールの確信度を高めるものであったこと,一方,後者は個別の課題や事例にもとづく思考が中心であり,事例とルールを結びつけるような知識構成が困難であったことが示唆された。