抄録
特異的グルタミソ酸受容体作動薬の投与によるけいれんに対する, ジョロウグモ毒素誘導体 (1-NA-Spm) の抗けいれん効果を海馬深部脳波記録と行動観察にて検討した。1-NA-Spmをラットの側脳室内に前投与し, その後グルタミソ酸受容体作動薬を同じ経路で投与した。non-NMDA型作動薬による辺縁系けいれんに対しては, カイニン酸型のドーモイ酸では海馬発作性放電は抑制されなかったが, キスカル酸 (QUIS) 型のQUISおよびAMPAでは海馬発作性放電の出現量 (%) は順に80~11%, 55~9%と強力に抑制され, 全般化けいれんの出現率は順に100~0%, 67~0%に減少した。また, NMDA型のキノリン酸に対しては行動上, 脳波上抑制効果は見られず, 1-NA-SpmはQUIS型受容体作動薬に選択的で強力な抗けいれん作用を示した。