1986 年 4 巻 2 号 p. 143-148
triclofos sodium (トリクロリール) は催眠剤として広く使用されているが, 抗けいれん剤として用いた報告は見られない. 今回, 難治性のけいれん重積状態の女児にトリクロリールを使用し, 著明な効果を得たので報告する. 患児は新生児期よりシリーズ形成を伴うtonic spasmsが出現し, 乳児早期てんかん性脳症の診断で種々の治療を行ったが, 発作の抑制は困難であった. 3ヵ月よりWest症候群へと変容していたが, 1歳2ヵ月時, けいれん重積状態となり, 静脈麻酔を含む各種の抗けいれん療法を行ったが発作のコントロールは困難であった. トリクロリール間歓的経口投与開始により, けいれん重積からの離脱に成功し, 漸減中止にても経過は良好であった.