てんかん研究
Online ISSN : 1347-5509
Print ISSN : 0912-0890
ISSN-L : 0912-0890
難治性のけいれん重積にtriclofos sodium (トリクロリール) が奏効した1女児例
坂本 亘司花井 敏男楢崎 修植木 洋子
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 4 巻 2 号 p. 143-148

詳細
抄録

triclofos sodium (トリクロリール) は催眠剤として広く使用されているが, 抗けいれん剤として用いた報告は見られない. 今回, 難治性のけいれん重積状態の女児にトリクロリールを使用し, 著明な効果を得たので報告する. 患児は新生児期よりシリーズ形成を伴うtonic spasmsが出現し, 乳児早期てんかん性脳症の診断で種々の治療を行ったが, 発作の抑制は困難であった. 3ヵ月よりWest症候群へと変容していたが, 1歳2ヵ月時, けいれん重積状態となり, 静脈麻酔を含む各種の抗けいれん療法を行ったが発作のコントロールは困難であった. トリクロリール間歓的経口投与開始により, けいれん重積からの離脱に成功し, 漸減中止にても経過は良好であった.

著者関連情報
© 日本てんかん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top