実験社会心理学研究
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原著論文
研修会場と職場が共振する研修プログラムの開発:看護組織の中堅看護師研修における試み
杉万 俊夫谷浦 葉子越村 利恵
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2006 年 45 巻 2 号 p. 136-157

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抄録

大学病院の中堅看護師(卒後数年の看護師)を対象としたリーダーシップ研修において,研修期間中に研修生が自らの職場改善を開始する研修プログラム(Already-Started型研修)を開発した。その研修プログラムでは,まず,2日間の集合研修において,①研修会場で研修生が自らの職場を分析し,職場改善のための行動計画案を策定する,②一旦,職場に戻って上司(看護師長)と計画を練り直した上で,計画実行の第一歩を踏み出す,③再び研修会場に戻り,各自の行動計画と第一歩の成果を発表し合う,というプロセスを踏む。その後4ヵ月の計画実行期間を挟んで,第2回目の集合研修(1日間)をもち,再び上司との話し合いによって,それ以降5ヵ月間の行動計画を固める。
通常のOff-the-Job-Training(Off-J-T)では,研修中に意思決定したことが,職場復帰後,実行に移されにくいという問題があるが,本研修プログラムによって,その問題がかなり克服されることが見出された。また,本研修は,上司をはじめ職場集団が変化する有効なトリガーとなることも見出された。

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© 2006 日本グループ・ダイナミックス学会
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