実験社会心理学研究
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原著論文
紹介者の存在が新入成員の受容に及ぼす影響
―紹介者がただ存在することが集団構造動揺不安と新入成員に対する信頼に及ぼす効果―
植村 善太郎
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2007 年 46 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
新入成員が集団に参加する状況において,紹介者の存在が既存成員の新入成員を受け入れることに関する不安と新入成員に対する信頼に及ぼす効果を実験によって検討した(被験者:男性52名,女性56名,計108名)。1)集団内のサクラが新入成員を知っている事実だけを述べる条件(単純存在条件),2)サクラが新入成員を知っており,肯定的に紹介する条件(肯定的紹介条件),3)サクラが存在せず,誰も新入成員を知らない条件(紹介者なし条件)が設定された。集団による共同作業場面3セッション中の第2セッション終了後に,第3セッションからの中途参加者受け入れに対する態度が測定された。第3セッションは実際には行われなかった。全般的な結果は,1)単純存在条件および肯定的紹介条件では紹介者なし条件に比して,集団構造が動揺することに対する不安が低く,意図および能力に対する信頼が高かった。また,2)単純存在条件と肯定的紹介条件との間には大きな差異はなかった。これらの結果から,紹介者はただ存在するだけで,集団構造が動揺することに対する不安の低減,新入成員に対する信頼の向上に効果をもつことが示された。
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© 2007 日本グループ・ダイナミックス学会
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